海外安全対策情報

(平成24年度第4四半期(平成25年1月~3月))

 

平成25年4月9日
在ホーチミン日本国総領事館

 

              

1.社会・治安情勢
 現在のところ,ベトナムの国内情勢に大きな混乱はないものの,南シナ海における最近の中国の活動に関し,昨年もホーチミン市内で発生した対中国抗議デモが発生する可能性がある。デモに遭遇した場合には,速やかにその場から離れ,無用のトラブルに巻き込まれないよう注意を要する。 
 ひったくり等犯罪の犯行主体と見られる麻薬常習者について,本年は,麻薬使用者に対する強制治療措置を規定した法律が改正される予定があるため,公安当局は事実上野放しとなった麻薬常習者による犯行増加を懸念し警戒を強めている。

2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)以下の統計はホーチミン市統計局発行の「ホーチミン市社会経済状況」2013年3月号から抜粋したもの。昨年度統計等との比較に関する記述はないものの,当館で昨年度同期の同局統計と比較対照したところ,刑法犯発生件数及び麻薬犯罪件数の大幅増が確認されている。


【刑法犯関係】(平成24年11月16日~平成25年2月15日実績)
ア 刑法犯発生件数:1677件(当館調べによれば昨年同期比+593件)
イ 死亡者:27人
ウ 負傷者:264人
エ 被害総額:590億ベトナムドン以上
オ 殺人:27件
カ 重大窃盗:113件
キ 侵入窃盗:831件
ク ひったくり:339件 
ケ 傷害:161件
コ 刑法犯検挙件数:1033件
サ 刑法犯検挙人員:1361人


【麻薬犯罪等】(平成24年11月16日~平成25年2月15日実績)
ア 麻薬犯罪検挙件数:474件(当館調べによれば昨年同期比+160件)
イ 内訳
(ア)麻薬売買,所持:358件
(イ)麻薬使用:116件

 

(2)邦人被害事案

1月中旬の平日午後6時頃,ホーチミン市内グエンフエ通り前に位置するホテル前で友人を待っていたところ,前方から向かってきた二人乗りのバイクの男性に,小脇に抱えていた貴重品の入ったポーチをひったくられ,その際,軽傷を負った。
3月中旬の日曜午後6時頃,ホーチミン市内チャンフンダオ通りを歩行中,2人乗りのバイクに軽くぶつけられ,ひるんだ隙に,仲間と思われる隣を歩いていたベトナム人女性にズボンのポケット内に入れていたスマートフォンを盗られた。
3月下旬の平日午前11時頃,ホーチミン市内中心部所在の日系店舗を訪問した越人男性2人が,同店経営者に対して「自分は旅行会社の者だ。日本の旅券を見せてくれたら400ドルあげる」等と要求。右経営者が不審に思い拒否していたところ,同人がテーブルに置いていたスマートフォンを右越人男性に奪われ逃走された。

 

(3)邦人以外の被害事案

1月中旬の日曜午後9時頃,ホーチミン市ビンチャン県内において,ベトナム人男性がバイクで走行中,3人組のベトナム人犯行グループによって背後から背中を刃物で切りつけられ転倒しバイクを強奪されるといった強盗事件が発生している。
2月下旬の平日午後2時頃,ホーチミン市ビンタン区内所在の喫茶店内において,タブレット端末(ipad)を使用中のベトナム人が,客を装って入店した男性に,同タブレット端末を強引にひったくられ逃走されるといった窃盗事件が発生している。

 

3.テロ・爆弾事件発生状況
事件の発生は認知していない。

 

4.誘拐・脅迫事件発生状況
(1)2月初旬の土曜午後9時頃,ドンナイ省内において,バイクで帰宅途中の50歳のベトナム人男性(養鶏所経営者)が6人組の犯人が乗車した乗用車に衝突され,同車両にて誘拐された。犯行グループは身代金30億ベトナムドンを要求したが,同日午後11時頃,身代金受け渡しの際,公安によって2名が逮捕され,被害者も救出されている。犯行グループの中には被害者経営の鶏舎を建設した作業員が含まれていたとのことである。

(2)3月初旬の午後,ホーチミン市内第6区内において,単独下校中の12歳のベトナム人男子学生がバイクに乗った2人組男性に誘拐された。犯人は両親に対し身代金1,000万ベトナムドンを要求したが,身代金受け渡しの際,公安によって犯人1名(26歳,ビンタン区居住)は逮捕され,被害者も救出されている。

 

5.日本企業の安全に係わる諸問題
1月下旬,ホーチミン市第7区内のタントゥアン輸出加工区に所在する日系企業において,昇給を求めるワーカー約300人が参加するストライキが発生している。