海外安全対策情報

(平成25年度第1四半期(平成25年4月~6月))

 

平成25年7月9日

在ホーチミン日本国総領事館

 

 

              

1 社会・治安情勢
  公安当局によれば,現在のところ,イスラム過激派によるテロや反政府組織等によるテロの情勢はないとのことであるが,南シナ海における最近の中国の活動に関し,6月初旬,ハノイ市内で実施された反中国デモについて,ホーチミン市内においても同計画があったものの実施されなかったことが判明しているところ,今後も同様なデモが発生する可能性がある。デモに遭遇した場合には,速やかにその場から離れ,無用のトラブルに巻き込まれないよう注意を要する。 
   
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)以下の統計はホーチミン市統計局発行の「ホーチミン市社会経済状況」2013年6月号から抜粋したもの。公安当局によれば,殺人等の凶悪犯罪は減少傾向にあるものの,窃盗、詐欺等の刑法犯は増加傾向にあるとのことである。
【刑法犯関係】(平成24年11月16日~平成25年5月16日実績)
 ア 刑法犯発生件数:3040件(昨年同期比+201件,+7.1%)
 イ 死亡者:56人
 ウ 負傷者:418人
 エ 被害総額:1040億ベトナムドン以上
 オ 刑法犯検挙件数:1952件
 カ 刑法犯検挙人員:2543人
 キ 組織犯罪検挙数:415組織
 ク 組織犯罪検挙人員:1046人
【麻薬犯罪等】(平成24年11月16日~平成25年5月16日実績)
 ア 麻薬犯罪検挙件数:776件(昨年同期比-6.7%)
 イ 麻薬犯罪検挙人員:1519人
 ウ 売春宿摘発数:31件
 エ 売春斡旋等検挙人員:138人
 オ 賭博犯罪検挙件数:496件
 カ 賭博犯罪検挙人員:2554人
 
(2)邦人被害事案
ア 4月初旬の平日午前8時頃,ホーチミン市第7区フーミーフン地区内のサービスアパートメント付近において,バイクに乗った2組に肩にかけていたバッグをひったくられそうになり,とっさに反抗したところ,犯人はあきらめて逃走したが,その際に転倒し,負傷した。
イ 4月中旬の土曜午後6時頃,ホーチミン市第3区グエンティミンカイ通り所在のサービスアパートメントから徒歩で外出したところ,バイクに乗った2組にたすきに掛けていたショルダーバックを追い越しざまにひったくられ,その際に転倒し,負傷した。
ウ 5月下旬の平日午後9時頃,ベンタイン市場近くの9月23日公園を歩いていたところ,バイクに乗った2人組の女性からマッサージの勧誘を受けた。その際に,体をさわられ,ズボンの前のポケットに入れていたスマートフォン(iphone)をすられた。

(3)邦人以外の被害事案
ア 4月下旬の平日午後10時頃,ホーチミン市第6区内において,ベトナム人女性がバイクで走行中,バイクに乗車した2人組のベトナム人犯行グループによってヘルメットで頭部を殴打され転倒しバイクを強奪されるといった強盗事件が発生している。
イ 5月下旬平日午後,ホーチミン市第5区内において,シンガポール人旅行者がバイクに乗車した2人組のベトナム人犯行グループに所持していたバッグをひったくられるといった窃盗事件が発生している。

3 テロ・爆弾事件発生状況
事件の発生は認知していない。

4 誘拐・脅迫事件発生状況
5月中旬の平日昼頃,ホーチミン市ビンタン(Binh Tan)区内において,ベトナム人女子大学生がインターネットで知り合ったベトナム人男性に食事に連れて出された後,誘拐されるといった事件が発生している。犯人は家族に電話で4億ドンを要求したが,その後,公安によって逮捕されている。

5 日本企業の安全に係わる諸問題

窃盗等の刑法犯は増加傾向にある上,公安当局は,今後の景気低迷により,失業者となった地方からの出稼ぎ者が帰郷せずに,ホーチミン市内及びその近郊に犯罪者として留まる等の理由から更なる犯罪増加を懸念していることから,日本企業の事務所及び工場等に対する侵入窃盗や出退勤途中におけるスリ、ひったくり等の各種犯罪に対して警戒を強める必要がある