海外安全対策情報

(平成25年度第3四半期(平成25年10月~12月))

 

平成26年1月17日
在ホーチミン日本国総領事館

 

1 社会・治安情勢
現在のところ,テロ情勢等はなく,当地の全般的な治安情勢については安定しているものの,南シナ海における最近の中国の活動に関し,対中国抗議デモが発生する可能性がある。デモに遭遇した場合には,速やかにその場から離れ,無用のトラブルに巻き込まれないよう注意を要する。 
公安当局によれば,ホーチミン市内の一般犯罪は増加傾向にあるとのことであり,邦人被害についても,12月に入り,市内中心部においてスリ被害が連続発生している。 恩赦が実施されること等により例年犯罪が多発するテト(旧正月)期間を迎えるにあたり,今後も特に外出の際には十分警戒する必要がある。 

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)以下の統計はホーチミン市統計局発行の「ホーチミン市社会経済状況」2013年9月号から抜粋したもの。また,ホーチミン市公安によれば,2013年は,前年に比べ,ひったくりは大きく減少したが(前年比-100件(-24.6%)),全体的に犯罪は増加しており,特に殺人,強姦,侵入窃盗,幼児誘拐,詐欺,横領の6種の犯罪が増加しているとのことである。
【刑法犯関係】(平成24年11月16日~平成25年11月15日実績)
ア 刑法犯発生件数:6218件(昨年同期比+290件(+4.9%))
イ 刑法犯検挙件数:4119件
ウ 刑法犯検挙人員:5254人
【麻薬犯罪等】(平成24年11月16日~平成25年11月15日実績)
ア 麻薬犯罪検挙件数:1885件(昨年同期比+162件(+9.4%))
イ 麻薬犯罪検挙人員:3950人
ウ 売春宿摘発数:116件
エ 売春斡旋等検挙人員:591人
オ 賭博犯罪検挙件数:823件
カ 賭博犯罪検挙人員:4377人

(2)邦人被害事案
ア 10月下旬の平日夕方,ホーチミン市第1区内ハイバーチュン通りを歩行中,前方から向かってきた二人乗りのバイクに,たすき掛けに所持していたバッグをひったくられそうになり,紐部分を掴んで抵抗したところ,バッグは盗まれなかったものの,地面に引きずられため,腕部分等に擦過傷を負った。
イ 11月中旬平日夜間,ホーチミン市第1区内の自宅アパートへ徒歩で帰宅する途中,見知らぬ女性が近寄ってきて,突然,下腹部等を掴んで,近くで待機していたバイクの後部座席に乗って去っていったが,後で確認したところ,ズボンのポケット内にしまっていた財布と携帯電話を盗まれていることに気づいた。
ウ 12月下旬の週末深夜,滞在先アパート寝室内において、財布、携帯電話、タブレット端末等を置いて就寝していたところ、翌朝、それらの物品がなくなっており、就寝中に何者かが寝室内に侵入し盗んでいったことに気づいた。

(3)邦人以外の被害事案
12月中旬の週末夜間,ホーチミン市第1区内のグエンフエ通りにおいて,ベトナム人女性がスマートフォンで同通りの写真を撮っていたところ,後方から突然現れたバイクに乗車した2人組の外国人少年(ブラジル,オーストラリア国籍)に同スマートフォンをひったくられるといった窃盗事件が発生している。なお,被害者はバイクの車両番号を覚えており,公安の事後捜査により犯人は検挙されている。

3 テロ・爆弾事件発生状況
事件の発生は認知していない。

4 誘拐・脅迫事件発生状況
(1)邦人の誘拐事件の発生は認知していないものの,ホーチミン市公安によれば,2013年中の身代金目的の幼児誘拐事案は前年比+200%以上に達しているとのことである。
(2)11月,契約先の変更を協議中の日系企業幹部に対し,同人の身体への危害をほのめかす旨のメールが送信されるといった脅迫事件が発生している。

5 日本企業の安全に係わる諸問題
(1)本年1月初旬の平日夕方,日系企業幹部の在留邦人が,ホーチミン市郊外の工業団地から帰宅のため,車両で同工業団地を出たところ,不審な二人乗りのバイクが同車両に急接近し,同在留邦人目がけて,窓ガラス越しに至近距離かられんがを投げつけ,同人の肩等に怪我を負わせるといった傷害事件が発生している。今後、同種犯罪の発生に備え,各企業等においては,
○ 使用車両,通勤・帰宅ルート及び時間帯を一定にしない
○ ガラス飛散防止フィルム等の車両窓ガラスへの貼付
等の安全対策の強化を検討する必要がある。

(2)本年1月初旬,ホーチミン市郊外の日系企業の資材担当者に対し,取引先企業(ベトナム国外)の担当者を装った者から,振込先の銀行口座変更に関するメールが送信され,会計担当者が,送付された修正後の契約書中に記載の振込先に現金を振り込んだところ,後日,取引先企業とは全く関係の無い口座であることが判明し,騙されたことに気づいたという詐欺容疑事案が発生している。