海外安全対策情報

      (平成26年度第1四半期(平成26年4月~6月))

 

 

平成26年7月16日
在ホーチミン日本国総領事館

 

 

1 社会・治安情勢


現在のところ,テロ情勢等はないものの,南シナ海における中国の掘削リグ設置等に関し,5月11日,ホーチミン市内において参加者約700人の大規模抗議デモが発生した。更に同月13日,14日にはホーチミン市,ビンズオン省,ドンナイ省の工業団地等において,数千人規模の反中デモが発生し,暴徒化したデモ参加者が工業団地内の企業に対し略奪や破壊行為を行い,日系企業にも被害が及んだ。
公安当局によれば,5月18日以降,ホーチミン市内及び周辺省・都市においてはデモ等の発生は確認されていない。しかし,今後の情勢如何によっては,同様のデモが発生する可能性は否定できない。デモに遭遇した場合には,速やかにその場から離れ,無用のトラブルに巻き込まれないよう注意を要する。

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)以下の統計はホーチミン市統計局発行の「ホーチミン市社会経済状況」から抜粋したもの。


【刑法犯関係】(平成25年11月16日~平成26年5月15日実績)
ア 刑法犯発生件数:2970件(前年同期比-2.1%(-64件))
内死者47人,負傷者395人
イ 刑法犯検挙件数:1972件
ウ 刑法犯検挙人員:1198人


【麻薬犯罪等】(平成25年11月16日~平成26年5月15日実績)
ア 麻薬犯罪検挙件数:831件(前年同期比+15.1%(+55件))
イ 麻薬犯罪検挙人員:1660人
ウ 売春組織摘発件数:33件
エ 売春斡旋等検挙人員:165人


2)邦人被害事案
ア 5月初旬の平日夜間,9月23日公園付近を単独で歩いていたところ,突然,越人女性に肩を組まれ話しかけられた。女性はひとしきり話した後,同人は走り去ったが,鞄から財布がなくなっていることに気付いた。
イ 5月下旬の平日深夜,知人と市内中心部を歩いていたところ,二人組の女性に「マッサージ」と声をかけられ,一人が進行を邪魔し,もう一人が体を密着させてきたことから,振り切ろうと歩き続けていると,女性が早足にバイクに向かったことから,おかしいと思いズボンのポケットを調べてみると,iphoneがなくなっていた。
ウ 5月下旬の週末深夜,職場から帰宅し,自宅の鍵を開けようとしたところ,後方から来た男1名にバッグをひったくられ,3メートルほど引きずられた。もう一人の男が路上においてバイクで待機しており,ひったくった男を乗せ逃走した。引きずられた際に首が鞭打ちになるなどの負傷を負った。
エ 6月初旬の平日昼間,ベンタイン市場周辺に駐車中のマイリンに似たタクシー(白色,シボレーのセダン)に乗車したところ,降車時にメーターに表示された金額が一桁違っていると説明され,ベトナム語がわからない振りをしていると,新聞紙に金額を書き示してきたが,その新聞紙の下から運転手が手を伸ばし,ポーチに入れていた財布を抜こうとしていた。すぐに降車しようとしたが,内側からドアをあけられない仕組みになっていたので,高額な料金を支払い降車することになった。


3)邦人以外の被害事案
ア 4月下旬,越人男性が,家族と共にダムセン公園を散歩中,若者10数名に囲まれ,着けていたネックレスを強奪され,犯人達を追跡したところ,暴行を加えられた後,ナイフで切りつけられるといった事案が発生している。
イ 5月初旬,越人男性がバイクで走行中,2台のバイクに衝突され転倒したところ,そのバイクに乗車していた男4名に木の棒などで暴行を受けた後,現金及び携帯電話を強奪されるといった事案が発生している。

 

3 テロ・爆弾事件発生状況
事件の発生は認知していない。

 

4 誘拐・脅迫事件発生状況
邦人の誘拐事件の発生は認知していないものの,4月,カントー市において発生した中学生誘拐事件について,カントー市公安当局とホーチミン市公安当局が協力し,犯人を摘発した。

 

5 日本企業の安全に係わる諸問題
5月13日,14日,ホーチミン市,,ビンズオン省,ドンナイ省の工業団地等において,数千人規模の反中デモが発生し,暴徒化したデモ参加者が工業団地内の企業に侵入,ベトナム人工員等に対しデモ参加を呼びかけたり,施設に対する破壊行為や略奪を行うなど,日系企業にも被害が及んだ。

物的被害のあった企業は23社以上であり,被害総額は2万ドル以上となっている。