海外安全対策情報

      (平成26年度第3四半期(平成26年10月~12月))

 

 

平成27年1月16日
在ホーチミン日本国総領事館

 

 

1 社会・治安情勢
  公安当局によれば,現在のところ,テロやデモ情勢等はなく,当地の全般的な治安情勢については安定している。しかし,昨年5月には,大規模な反中デモが起こり,一部暴徒化したデモ隊が中国や台湾系企業を中心に襲撃する事案が発生し,韓国系や日系企業等にも被害が及んだ。最近の南シナ海における中国の活動に関し,当地における反中感情が再燃し,デモが発生する可能性は否定できない。デモに遭遇した場合には,速やかにその場から離れ,無用のトラブルに巻き込まれないよう注意を要する。 
また,公安当局によれば,昨年末からホーチミン市内のひったくりや強盗事件は減少傾向にあるとのことであるが,恩赦が実施されるテト(旧正月)を迎えるにあたり,この時期,例年犯罪が多発することから,外出の際には十分警戒する必要がある。 
   
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)以下の統計はホーチミン市統計局発行の「ホーチミン市社会経済状況」から抜粋したもの。また,ホーチミン市公安によれば,2014年は,前年に比べ,重大犯罪(殺人,強盗,強姦等)は減少したが,全体的に犯罪は増加(前年比2.6%増(+163件)しており,窃盗,特に侵入盗が増加しているとのことである。
【刑法犯関係】(平成25年11月16日~平成26年11月15日実績)
 ア 刑法犯発生件数:6381件(昨年同期比+163件(+2.6%))
 イ 刑法犯検挙件数:4248件
 ウ 刑法犯検挙人員:2142人
【麻薬犯罪等】(平成25年11月16日~平成26年11月15日実績)
 ア 麻薬犯罪検挙件数:1662件(昨年同期比-223件(-13.4%))
 イ 麻薬犯罪検挙人員:3350人
 ウ 売春宿摘発数:58件
 エ 売春斡旋等検挙人員:338人
 オ 賭博犯罪検挙件数:668件
 カ 賭博犯罪検挙人員:3415人
 
(2)邦人被害事案
ア 10月下旬の夜間,ブンタウ市内をバイクの後部座席に乗車し走行中,並走してきたバイクの後部座席に乗車した男が,刃渡り約20cmのナイフで,たすき掛けしていたビジネスバッグの紐を切り,カバンをひったくり逃走。抵抗しなかったことから怪我はなかった。
イ 11月初旬の週末深夜,ホーチミン市1区において歩道でタクシー待ちをしていると,バイクに乗った見知らぬ女性が近寄ってきて,突然,身体のあちこちを触った後,バイクで走り去った。不審に思い調べてみると,ズボンのポケット内にしまっていた携帯電話が盗まれていた。
ウ 11月中旬の平日昼間,タンソンニャット空港で車のトランクから旅行バッグを下ろし,別の荷物の整理をするため目を離したわずかの隙に旅行バッグが盗まれた。
エ 12月中旬の平日夜間,ホーチミン市1区において,食事のため店内に入ろうとしたところ,女性が抱き付き身体を密着させてきた。マッサージの呼び込みと思い無視していたところ,30秒ほどで離れていった。食事後,支払いの際に,ズボンの後ろポケットに入れていた財布を盗まれていたことに気付いた。

(3)邦人以外の被害事案
ア 10月下旬,ホーチミン市7区において,子供の下校を待っていたオーストラリア人女性が,バイクに乗車した2人組の男にネックレスをひったくられた。
イ 12月初旬,ベトナム人被疑者2名が駐輪中のバイクを窃取したところ,家人に気付かれ逃走した。事件を認知した公安により,身柄を確保される際,被疑者はナイフを振り回したことにより公安が腕を負傷した。
ウ 12月中旬,被害者(スイス人男性)がホテルの外で友人と話している隙に,ベトナム人女性が被害者の部屋に忍び込み,スーツケース内の現金1億ドンを窃取した。4日後に公安が女性を逮捕した。

3 爆弾事件発生状況
被疑者は,11月20日の「教師の日」にドンナイ省において,元恋人と交際していた男性教師に対し,爆弾入りの小包を送りつけた。自分宛の荷物と勘違いした隣人が箱を開けたところ,爆弾が爆発し死亡した。被疑者は公安により2日後に逮捕され,爆弾はインターネットのサイトを見て作成した,と供述した。

 

4 誘拐・脅迫事件発生状況
ア 10月初旬,ホーチミン市において,メイドが身代金目的誘拐のため3歳の女児を誘拐し,両親に身代金1億ドンを要求したが,3日後に公安により逮捕された。女児は無事であった。
イ 11月下旬,ドンナイ省において,被疑者2名は麻薬の購入金額を支払わないとの理由で,被害者の娘2歳を誘拐し,身代金1000万ドン及び購入代金550万ドンの支払いを要求した。3日後,被疑者は逮捕され,2歳の女児は無事保護された。
ウ 邦人の誘拐事件の発生は認知していない。

 

5 日本企業の安全に係わる諸問題
日本企業に対するストライキ等の問題については把握されていない。