DOLAB主催:海外労働者派遣にかかる実務者研修

平成30年5月15日

河上総領事挨拶文(和訳文)

ご列席の皆様

 本日は、DOLAB(海外労働管理局)主催の海外労働派遣に関する研修会にお招き頂きまして誠にありがとうございます。在ホーチミン日本国総領事館を代表いたしまして、一言ご挨拶させて頂きます。

 皆様もご存じの通り、日越関係は現在大変良好で、要人の往来だけでなく、文化、教育、経済等様々な分野での両国の交流が盛んです。現在、ベトナムの在住日本人の数は、約16,000人とこの数年で倍増しており、一方、日本在住のベトナム人数は現在、26万人を超えて国別3位と記録を更新しています。そのうち、技能実習生は昨年約12万を超え、6年前と比べ9倍に急増しました。

 このような背景の中、技能実習生を送出す企業の皆様や実際に訪日を考えておられる技能実習生の皆様に、本日、改めてお伝えしたいのは、日本の技能実習制度はベトナムから他国への海外労働派遣とは違い、日本の技術を習得し、帰国後、母国ベトナムの発展に活かすことを本来の目的とし、研修や人材育成が主眼となっており、いわゆる「労働輸出」の考え方は日本の場合はあてはまならい、ということです。 

 また、両国の交流の拡大は大変喜ばしいのですが、一方で問題も発生しています。それは、技能実習生や留学生の急激な増加に伴い、日本又はベトナムの悪質な業者にだまされ、多額の借金を背負わされ、日本で犯罪を行ったり、無理な労働で身体を壊したり、また、不法滞在するケースが増えていることです。現にベトナム人の刑法犯の検挙数は外国人の中で一番多く、また、不法残留者数は今年1月1日の時点で、6,760人と前年より3割以上増加しています。

 こうした現状を両政府は重く受け止め、両政府はより良い制度構築に向けて取り組んでいます。

 先ず、悪徳業者の撲滅にかかる取組です。状況は以前より改善しているようですが、保証金や監理団体へのキックバックの問題がマスコミで大きく報じられています。日本とベトナム両政府は技能実習に係る協力覚書に基づき、連携して指導・監督を強化していきます。大使館・総領事館としても、問題がある事案を把握したら関係当局に通報しています。
 また、留学についても取組を強化しています。適正な技能実習や留学の実施のために、引き続き、送出企業の皆さんにも法律の遵守と履行をお願いします。

 日本政府側の取組としては、技能実習制度の新しい法律が制定され、OTIT(外国人技能実習機構)を設置し、監理団体や企業に対する規制をいっそう厳しくし、技能実習生の保護を図っています。また、新しい職種の追加や派遣期間を5年まで延長するなど制度の改善にも取り組んでいます。
 さらに、技能実習や留学を希望する方に向けて、正しい情報の発信に努めており、在ハノイ日本大使館ではフェイスブックやホームページで、手数料の上限、保証金禁止、ブローカーの注意喚起などの周知をしています。手数料の上限など非常に大きな反響がありました。
 技能実習制度のより良い構築には、日越両政府だけでなく、送出し機関、監理団体、受入企業といった関わる者全ての努力が重要でありますので、今後の皆様の一層のご協力をよろしくお願いします。

 最後に、ご出席の皆様のご健勝をお祈りし、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。