海外安全対策情報(令和6年度第1四半期)

令和6年7月5日
海外安全対策情報(ベトナム南部)
(令和6年度第1四半期(令和6年4月~令和6年6月))
 
令和6年7月4日
在ホーチミン日本国総領事館
1 社会・治安情勢
(1)デモ情勢
 現在のところ、デモに関する特段の情報には接していないものの、過去には、2014年5月に反中デモ、2016年5月に魚大量死関連デモ、2018年6月にはホーチミン市内、ロンアン省工業団地内、カインホア省ニャチャン等全国各地で経済特区法案に関する大規模デモが発生。中でもビントゥアン省においては、デモ隊の一部が暴徒化し、放火や破壊行為を行い、機動隊と衝突する事態にもなった。
 万が一、デモに遭遇した場合は、絶対に近づかず、速やかにその場を離れるようにする必要がある。
(2)テロ情勢
 当地においては、イスラム過激派等の国際テロの発生は認められていないものの、近隣のアジア諸国を含む世界各国では、その脅威は依然として高い状況にある。
 一方で、当地では近年、反政府組織によるテロの発生が認められており、2017年4月にタンソンニャット国際空港における爆弾テロ事件、2018年6月にホーチミン市タンビン区の公安(警察署に相当)における爆弾テロ事件、2019年9月にはビンズオン省税務署内における爆弾テロ事件、そして、記憶に新しいものでは、2024年6月にベトナム中南部ダクラク省における人民委員会への連続襲撃事件が発生している。これら一連の反政府組織によるテロ活動には、引き続きの警戒が必要である。
 テロの被害に遭わないように、状況に応じて、公共施設や人が集中する場所を避ける等の注意が必要である。
(3)一般犯罪情勢
 ホーチミン市における犯罪発生状況は「2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向」のとおりである。日本人の被害に関しては、今期当館が認知した件数は33件(前期比6件増)であった。
 日本及びベトナムの水際対策の緩和に伴い、邦人の出張者や旅行者の渡航者数の増加に比例して、邦人の犯罪被害件数も増加傾向にある。
 また、一般的に当地の治安状況は落ち着いていると言えるが、経済発展による貧富の差の拡大や麻薬の蔓延などを踏まえると、治安悪化の要素は増してきていると言える。
 これらの犯罪情勢については、当館ホームページ、外務省・海外安全情報、旅行ガイドブック等を通じて最新情報を入手するとともに、十分な安全対策を講じる必要がある。
   
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向  
(1)ホーチミン市内(同市統計局発行の「ホーチミン市社会経済状況」から抜粋)
【刑法犯関係】(2024年1月~6月)
  ア 刑法犯罪認知件数:2,719件
  イ 刑法犯犯罪挙件数:1,860件(検挙率:68.4%)
  ウ 刑法犯罪検挙人員:3,309人
【麻薬犯罪】(2024年1~6月)
  ア 麻薬犯罪認知件数:1,621件
  イ 麻薬犯罪検挙人員:4,131人(内、2,593人が起訴)
【交通事故】(2024年1~6月)
  ア 交通事故件数:808件(前年比1%減)
  イ 交通事故死亡者数:223人(前年比36%減)
  ウ 交通事故負傷者数:539人(前年比18%増)
【火災件数】(2024年中1~6月)
  ア 火災発生件数:267件(前年比1%減)
  イ 火災死亡者数:10人
  ウ 火災負傷者数:11人
(2)日本人の被害(当館に報告があり認知したもの)
 今期当館が認知した件数は33件(前期比6件増)であった。
ア 特異案件として、6月上旬、ホーチミン市1区内の路上において、30代邦人男性が刃物で刺殺される事件が発生した。
  常に最新の治安情報の収集に努めると共に、挙動不審者に遭遇した際は、直ぐにその場を離れるなどの身の回りの  安全を確保する行動を取ること。
イ その他の被害内容は、邦人観光客のタクシー乗車に絡む被害に加え、航空機内での窃盗被害やイカサマ賭博に絡む相談が目立った。
〈具体的な事例(領事メールでも発出)〉
・ シンガポール発ホーチミン行の航空機内にて、機内に持ち込んだ手荷物内(機内収納棚)より財布の盗難に遭った他、財布内に入っていたクレジットカードを不正使用された。
・ 日本発ホーチミン行の航空機内にて、機内に持ち込んだ手提げ鞄内(機内収納棚)より財布の盗難に遭い、現金数十万円が盗まれた。
・ ホーチミン市内を観光していたところ、日本語若しくは英語で話しかけてきた人物(自称:インドネシア人、シンガポール人等)に誘われ、その人物の自宅に赴き食事等のもてなしを受けた後、突然、カジノのディーラーと名乗る人物が来訪し、ブラックジャックやポーカー等のカードゲームへの参加を誘われた。その後、そのディーラーから必ず勝てるという「イカサマの方法」を教えられ、少額で掛けている間は連勝したが、掛け金が高騰した途端負け始め、所持金の他、ATM等で現金を下ろすよう指示され、多額の被害を受けた。
   等の相談を受ける機会が増加している。
 ベトナムにおいて賭博は法令違反であり、不審な人物からいきなり話しかけられても、決して甘い話には乗らず、自宅などについて行かないようにすべき。
 また、国内線・国際線問わず、現金を含む貴重品は機内預け入れ荷物に入れることは避け、機内荷物であってもその荷物を頭上の収納棚に入れないなど、細心の注意を払う必要がある。
 具体的な犯罪の手口と防犯のための注意事項については、当館ホームページに掲載されている「安全の手引き」や「注意喚起」等も参考にされたい。
 https://www.hcmcgj.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00219.html 
 
3 テロ・爆弾事件発生状況
  テロ・爆弾事件の発生は認知していない。
 
4 誘拐・脅迫事件発生状況
  誘拐・脅迫事件の発生は認知していない。
 
5 日本企業の安全に係わる諸問題
  日本企業の安全に係わる諸問題は認知していない。